COLONNA E SPORT
こちらは、野球とサッカーを中心とした様々なスポーツについての"スポーツ・コラム・カフェ"です。スポーツ好きな方もそうでない方も、ゆっくりとスポーツ談義は如何でしょうか?


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ringhio8
  • Author:ringhio8
  • ringhio8←の由来
    私の好きなACミランのジェンナーロ・ガットゥーゾ選手のアダ名「ringhio(リンギオもしくはリーノ…猛犬の意)」と、彼の背番号8番からです。
    私自身は猛犬とはほど遠いですが…(^^;

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    【日本シリーズ】分析と総括-差はどこから生まれたか-
    ロッテ、4連勝のポイント
    http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/05season/champ/
    column/200510/at00006437.html

    データと信頼で築いた日本一
    http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/05season/champ/
    column/200510/at00006439.html



    で、ここからは今さら感のある日本シリーズの分析と総括をしようかと。
    色々なポイント毎にマリーンズとタイガースの違いを振り返ってみることにする。

    断っておくが、セ・パ両リーグを優勝して日本シリーズに来た両チームである。
    総合的な強さ、戦力的なものにはそれほどの差はないとみるのが基本だ。
    単純な強弱論や、そこから派生するリーグ間のレベル云々を語ることは意味が無い。
    それを踏まえた上で、なぜマリーンズが4連勝して日本一となったか、考察してみる。


    ○日本シリーズまでの日程

    これは様々なメディアで取り上げられ、不公平だという意見が多かった。
    確かに、シーズンが終わってから厳しいプレーオフを7戦戦ったマリーンズと、
    シーズンが終わってから2週間以上も公式戦の間隔が空いたタイガースでは、
    いわゆる「実戦間隔」というものに違いが出るのは否めない。

    しかしこれを決定的な理由付けにはできないし、この点を批判するのは違うのではないか。
    まず、日程を決めるのはお互いのリーグであり、セとパで日本シリーズへ向けての
    日程に差が出ることは、今年のシーズン前の時点で明らかだったのだ。

    セはパよりもシーズンの総試合数が10試合も多い(プレーオフも入れるとほぼ同じ)のだから、
    セの日程の組み方にも問題があると言わざるを得ない。
    しかしメディアは、それをセ・リーグ視点で捉え「待たされた」という言い方をする。
    このあたりには、セ・リーグ偏重なメディアの誘導を疑わずにはいられない。

    また、連戦で来ることによる「疲労」の部分が考慮されていないことも疑問を感じる。
    事実、マリーンズは小坂、堀がプレーオフで負傷し、万全な状態では無かったのである。

    この点については、もちろん是正することが望ましい。
    それを日程の調整で済ませるのか、セへもプレーオフを導入するのか、
    どうやら後者になるようだが、セとパがそれぞれ別々にそのあたりを決定していることが、
    そもそもの原因である。日程の問題も含め、セとパで1つになって協議すべきだろう。


    ○勝敗を決したポイントは6回、7回の投手交代

    日本シリーズのような短期決戦において、"試合を作る"先発投手は特に重要だ。
    先発投手が6、7回まである程度抑えてこそ、継投や終盤の様々な作戦が可能になる。
    逆に、先発投手が序盤に崩れると、ほぼその試合の行く末は決まってしまう。
    短期決戦においては、そういった1敗が命取りになるのは自明の理だ。

    最悪でも6、7回までを2、3点程度で抑えるマリーンズの先発投手陣は、
    その実力、層の厚さから現在の球界では№1だろう。
    事実、日本シリーズでも清水、渡辺俊、小林宏が1失点で最低でも7回を投げている。
    では、優れたブルペン投手である「JFK」の陰に隠れている感のある
    タイガースの先発投手陣はどうだったかというと、5失点で降板した第1戦の井川を除けば、
    5、6回まではマリーンズの打線をそれなりに抑えているのである。

    第1戦が10-1、第2戦は10-0、第3戦は10-1と大差となったが、
    5回までを見れば接戦であり、6、7回にマリーンズに大量点が入るという形だった。

    つまり、先発投手に見切りをつけ、中継ぎ、抑え投手に切り替えるポイントが、
    マリーンズよりタイガースの方が早かった。というより、早くせざるを得なかった。
    そこの分岐点で2番手投手が打たれ、大量失点を喫することになったのである。
    第3戦を除けば、そこで打たれた中継ぎ投手はいずれも「JFK」以外の投手だ。


    ○先発投手の"質の差"と、仇となった「JFK」

    次のデータは、日本シリーズで先発(順番は登板した順)した両チームの投手と、
    シーズン中の試合数/総イニング数、そして、それを割った「1試合平均イニング数」だ。
    その投手が1試合でどのくらいのイニングを投げるのか、投げてきたのか、
    このデータによって、その投手が登板した時の試合の展開も読めてくる。

    清水    23試合/164.1回  7.13回
    渡辺俊   23試合/187.0回  8.13回
    小林宏   23試合/160.2回  6.96回
    セラフィニ 27試合/151.1回  5.59回

    井川    27試合/172.1回  6.37回
    安藤    24試合/171.2回  7.13回
    下柳    24試合/132.1回  5.50回
    杉山    23試合/134.2回  5.83回

    これから見てとれることは、マリーンズの投手の方が多い回数を投げていて、
    しかも大差が付いた3戦目までは、いずれもマリーンズの先発投手の方が
    上位の数値(長い回数を投げてきた)が出ていることがわかる。

    もちろん、タイガース先発陣のイニング数が短いのは、後ろに信頼のおける
    「JFK」という3人の中継ぎ・抑え投手を擁しているからであるが、
    日本シリーズではそれが逆に仇となり、先発投手から継投に入る部分で
    打ち込まれてしまった。この「バトンミス」が大きな差となったのではないだろうか。

    「JFK」は優れた"ブルペンユニット"だが、それに頼り過ぎた感がある。
    日本シリーズでは先発投手、そして投手陣の総合的な力と、その柔軟性が必要だった。


    ○チャンスメーカー、ポイントゲッターを絞り込めない怖さ

    次に打撃陣について見て行きたい。

    まず、それぞれの打線の特徴は以前のエントリーにも書いたが、
    マリーンズの片は打線の上位や下位といった区別がしづらく、
    打順やメンバーは固定されることなく、どこからでも点が取れるという打線だった。
    片やタイガースは、出塁率が高く機動力のある赤星がトップバッターとなり、
    長打があり得点力が非常に高い金本、今岡が中軸に座る、オーソドックスな打線だ。

    ところが後者の場合は「中軸を抑えられた」場合に、攻撃面での柔軟性に欠ける。
    プレーオフで松中を完全に抑えられたホークスがそうであったように。
    対してマリーンズの方は、ヒットも長打も警戒すべき"真に怖い打者"はいない。
    しかし1番から9番までヒットでも四球でも出塁し、後続に繋げていく力が
    備わっているだけに、相手投手・捕手からは気を抜ける部分がない。

    そのあたりを示すデータとして、シーズン中に200打席以上打席に立ち、
    出塁率が.350を超えた打者を、両チーム共に抽出した(カッコ内は打率)
    また、その出塁した選手がどれだけ得点になったかを、右に得点数として示した。

    橋本   .398(.257)  36
    サブロー .380(.313)  68
    フランコ .372(.300)  73
    福浦   .363(.300)  54
    里崎   .361(.303)  40
    大塚   .355(.293)  44
    今江   .353(.310)  58

    金本   .429(.327)  120
    赤星   .392(.316)  119
    関本   .361(.297)  37
    桧山   .352(.278)  29
    今岡   .346(.279)  71

    堀、小坂は該当したのだが、ほとんど日本シリーズには出場していないので外した。
    それでもマリーンズは7人が該当し、ヒットでも四球でも出塁する確率の高さを示している。
    中でも第3戦での藤川との対戦で、選球眼の高さとファウルでの粘りを見せた橋本は、
    一見した打率からは想像もできない出塁率を記録している。

    また、どの選手も得点数が偏らずに平均的な数値を記録しているのは、
    どこからでも得点ができることを意味している。「平均的な怖さ」がマリーンズ打線の象徴だ。

    一方のタイガースも5人が該当したが、いわゆる上位打線にそれが集中している。
    金本と赤星の得点が高いのは、今岡、金本の驚異的な打点にも繋がるが、
    逆に言えばこの3人でほとんどの得点を取っていることになる。
    他の選手の出塁率、得点力にはさほど期待出来ない偏りがあったのは否めない。

    そしてシーズン中では素晴らしい数値を記録した金本と赤星が完全に抑えられたのは、
    いわば口と鼻を塞がれたようなものだったのだろう。


    ○データ分析の専門家の存在

    そして最大の差が、あらゆるデータの収集、分析、そしてそれらの活用方法にあったと言える。

    マリーンズは、バレンタイン監督と旧知の仲で統計アナリストのポール・プポ氏を筆頭に、
    優れた分析力をもった"データの専門家"を数人置き、最大限に活用していた。
    報道によると、タイガース、特に金本に対しては、シーズン前から分析を行っていたという。

    プポ氏は単なるスコア上の数字からは読みとれない部分まで、ビデオを繰り返して見て分析、
    相手投手・捕手の配球パターンから、自チームの選手との相性までを徹底的に調べた。
    バレンタイン監督がこれらを体調などと相談した結果、136試合で129通りもの打順となった。
    もちろん、バレンタイン監督がプポ氏に全幅の信頼を置き、それを最大限活用したからだ。

    日本シリーズでは、タイガース投手陣の投球パターン、そして捕手の配球のパターンから、
    金本を始めとした打撃陣のデータまで、あらゆることを丸裸にしたという。
    これは憶測だが、第3戦での藤川登板時のフランコ、橋本の異常なまでの粘りと選球眼は、
    「藤川のフォークはボールになる。振るな」というデータがあったのかもしれない。
    事実、フォークは全てボールになる球だった。

    タイガースも当然、そのあたりのことはやっていたのだろうが、なぜ違いが出たのだろうか。
    そしてここに、マリーンズをマリーンズたらしめた選手構成の違いが浮き彫りになってくる。


    ○データは活用できてこそ意味がある

    オーソドックスな打順の組み方をしたタイガースの場合、それにメスは入れづらい。
    例えば、ある特定の投手に対して金本、今岡が全く打てていないとする。
    しかし、その投手が登板するからと言って、金本、今岡をスタメンから外したり、
    打順を下げたりすることは容易ではない。逆に監督は非難されてしまうだろう。

    ところが、マリーンズはそれを可能にする選手構成があった。

    スター選手が不在で、「どうしても外せない」という選手はいなかった。
    層の厚さもあった。スタメンとそうでない選手に差が無いので、容易に組み替えられた。
    そして何より、そのやり方がチームに浸透し、選手たちが理解していた。
    昨日活躍したのに外されたり、打順が下がれば、当然「なぜだ」となる。
    マリーンズの選手たちも、バレンタイン政権(2期目だが)1年目の昨年は戸惑ったらしい。

    それを2年目の今年、選手たちが理解した。
    選手の戦術理解度を深め、データの収集・活用を現実的に運用できたのは、
    紛れもないバレンタイン監督の人望と手腕。そう「ボビー・マジック」だったと言える。


    ※以上の分析は、真に客観的なものではないとお断りしておきます。
     データの取捨やポイントなど、主観的な部分が絡むのは排除しきれず。
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